銀行口座はどうする？海外移住後の資産管理のコツ – 不安を安心に変えるコーチング的アプローチ

海外移住、それは新しい生活への期待と同時に、手続きの不安も伴う大きな一歩ですね。特に、これまで当たり前に使ってきた日本の銀行口座をどうするかは、多くの方が悩むポイントではないでしょうか。

「海外移住後の銀行口座、みんなどうしてるんだろう？」「非居住者になると口座は凍結されるって本当？」「海外から日本の口座を管理する方法は？」…そんな疑問や不安で、頭がいっぱいになってしまうかもしれません。

この記事では、ライフコーチの視点から、海外移住後の銀行口座・資産管理に関する疑問や不安を解消し、あなたが安心して新しい一歩を踏み出すためのお手伝いをします。「ココロとアタマとカラダの声をぜんぶ聴く」という視点で、手続きのノウハウだけでなく、それに伴う心の動きにも寄り添いながら、具体的で実践的な方法を考えていきましょう。

なぜ海外移住で銀行口座の見直しが必要なのか？

海外に移住し、日本の非居住者になると、これまでと同じように日本の銀行口座を利用できなくなる可能性があります。これは、銀行が法律や規制（マネー・ロンダリング対策など）を遵守するため、非居住者の口座利用に一定の制限を設けている場合が多いからです。

主な理由:

1. 銀行の規約: 多くの銀行では、口座の利用者を日本国内居住者に限定しています。海外転出（住民票の国外転出届を提出するなど）により非居住者となる場合、原則として口座を解約するか、非居住者向けのサービスに切り替える必要があります。
2. サービス制限: 届け出をしないまま海外から利用し続けると、ある日突然、一部のサービス（インターネットバンキング、新規の取引など）が利用できなくなったり、最悪の場合、口座が凍結されたりするリスクがあります。
3. 税務上の問題: 日本の非居住者になると、税金の取り扱いも変わります。口座を維持している場合、利息などに対する源泉徴収のルールも変わる可能性があるため、注意が必要です。（詳しくは後述）

これらの理由から、海外移住が決まったら、早めに銀行口座の今後について検討し、手続きを進めることが非常に重要です。例えば、海外赴任時の銀行口座の手続きなど、具体的な状況に合わせて情報を集め始めるのが良いでしょう。

「非居住者」とは？ まずは自分の状況を確認しよう

銀行手続きや税務上の話でよく出てくる「非居住者」という言葉。具体的にどのような状態を指すのでしょうか？

日本の所得税法では、一般的に以下のいずれかに該当する場合、「非居住者」と判定されます。

• 日本国内に住所（生活の本拠）を有しない個人
• 日本国内に現在まで引き続いて1年以上居所（生活の本拠ではないが、相当期間継続して居住する場所）を有しない個人

（出典：国税庁 No.2875 居住者と非居住者の区分）
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875.htm

ただし、銀行の判断基準は、必ずしも税法上の定義と完全に一致するわけではありません。多くの銀行では、「海外転出届を提出した」「1年以上の予定で海外に滞在する」といった事実をもって、非居住者として扱う傾向があります。

重要: ご自身が非居住者に該当するかどうか、そして銀行がどのような基準で判断するかは、最終的には個別の状況と各銀行の規定によります。必ず、ご利用の金融機関に直接確認するようにしてください。

海外移住後の銀行口座、3つの選択肢と銀行比較

日本の銀行口座をどうするか、主な選択肢は以下の3つです。それぞれのメリット・デメリット、そして各銀行の一般的な対応状況（2025年4月時点）を比較してみましょう。

選択肢	メリット	デメリット	こんな人におすすめ
1. 口座を解約する	手続きが完了すれば、後の管理が不要になる。	日本での収入受け取りや支払いがある場合、代替手段が必要。解約手続きの手間がかかる。	日本との金銭的なやり取りが今後ほとんどなくなる人。
2. 届け出て口座を維持する	日本での年金受け取り、保険料支払い、家賃収入など、継続的な取引に対応できる。	銀行への届け出が必須。利用できるサービスに制限がかかる場合が多い（例：投資信託の新規購入不可など）。	日本に収入源や支払いがある人。将来日本に戻る予定がある人。
3. 非居住者向けサービスを利用	非居住者であることを前提としたサービスのため、安心して利用できる。	提供している銀行が限られる。サービス内容や手数料が通常の口座と異なる場合がある。	メインバンクとして日本とのやり取りを継続したい人。日本における非居住者向けの銀行口座を探している人。

【主要銀行の非居住者向け対応状況（2025年4月11日時点）】

注意: 以下の情報は各銀行のウェブサイトに基づいた一般的な情報であり、変更される可能性があります。サービス内容や手続きの詳細は、必ず各銀行の公式ウェブサイトで最新情報を確認し、直接お問い合わせください。

銀行名	非居住者向けサービス・対応	主な条件・制限（例）	インターネットバンキング海外利用
三菱UFJ銀行	原則解約。条件により維持可能な場合あり（要相談）。非居住者向けサービスは限定的。グローバルダイレクト（海外送金等）は利用可。	維持の場合、投資性商品（投信・NISA等）の新規取引不可。海外住所等の届け出必須。	一部可（要確認）
三井住友銀行	原則解約。条件により「非居住者のお客さま向けサービス」として維持可能。SMBCダイレクトの利用継続可。	維持の場合、投資性商品・ローン等の新規取引不可。海外住所等の届け出必須。	可（要確認）
みずほ銀行	原則解約。条件により維持可能な場合あり（要相談）。インターネットバンキング（みずほダイレクト）は継続利用可。	維持の場合、投資性商品・ローン等の新規取引不可。海外住所等の届け出必須。	可（要確認）
楽天銀行	原則解約。維持不可。	海外転出（住民票除票）する場合、口座解約が必要。	–
住信SBIネット銀行	原則解約。維持不可。	海外転出（住民票除票）する場合、口座解約が必要。	–
ソニー銀行	条件付きで維持可能。海外住所の届け出、日本国内の連絡先登録等が必要。	投資性商品（投信・FX等）の新規取引制限あり。一部サービス利用不可。認証方式（スマホ認証等）の海外利用可否を要確認。	可（要確認）
PayPay銀行	原則解約。維持不可。	海外転出（住民票除票）する場合、口座解約が必要。	–
ゆうちょ銀行	条件付きで維持可能。「非居住者のお届け」が必要。	一部サービス（投資信託等）の取引制限あり。ゆうちょダイレクトの利用可否、送金制限などを要確認。	可（要確認）

※上記以外にも多くの銀行があります。ご利用の銀行の対応状況は必ずご自身でご確認ください。

具体的な手続き:

• 解約する場合: 海外移住前に、銀行窓口または郵送で解約手続きを行います。残高は現金で受け取るか、他の口座に振り込むことになります。
• 維持する場合: 海外転出前に、必ず銀行に連絡し、「海外転出する旨」と「非居住者になる旨」を届け出ます。必要な書類（海外の連絡先、日本の連絡先など）を提出し、今後の利用条件を確認します。インターネットバンキングの海外からの利用可否や、ワンタイムパスワードの受け取り方法（SMSか、専用アプリかなど）も重要な確認事項です。海外在住者が日本の口座を管理する方法は、この届け出が前提となります。
• 非居住者向けサービスを利用する場合: 対応している銀行（上記の表参照）に申し込みます。既存口座からの切り替え、または新規開設となる場合があります。サービス内容をよく確認しましょう。

要注意！税金のこと – 非居住者の税務

海外移住に伴い、日本の税金の扱いも変わります。特に銀行口座に関連する点としては、預金利息や株式等の配当金に対する課税です。

• 居住者: 通常、利子や配当には所得税・復興特別所得税・住民税が源泉徴収されます。
• 非居住者: 原則として、日本の所得税・復興特別所得税のみが源泉徴収されます（住民税は課税されない）。ただし、租税条約により、国によっては軽減・免除される場合があります。

（参考：国税庁 No.2883 非居住者等に対する源泉徴収のしくみ）
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2883.htm

（参考：国税庁 租税条約に関する情報）
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/sozei/sozei.htm

また、海外移住（出国）時に1億円以上の対象資産を持っている場合は、「国外転出時課税制度」の対象となる可能性があります。

（参考：国税庁 No.1478 国外転出をする場合の譲渡所得等の特例）
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1478.htm

重要: 税金のルールは非常に複雑で、個人の状況や移住先の国によって大きく異なります。上記はあくまで一般的な情報です。必ず、税務署や税理士などの専門家に相談し、ご自身の状況に合わせた正確な情報を確認してください。 移住前に、海外移住における税金の手続きについて専門家へ相談する時間を取りましょう。

その他、事前に確認・準備しておきたいこと

• インターネットバンキング: 海外からでも問題なくアクセスできるか、操作に必要な手続き（ワンタイムパスワードの受け取り方法など）を確認しましょう。携帯電話番号に紐づくSMS認証は、日本のSIMを解約すると使えなくなる可能性があります。アプリ認証（例：各銀行の専用アプリ、Google Authenticatorなど）やハードウェアトークン（各銀行提供）など、代替手段があるか確認が必要です。これはご利用の銀行のサポートページやFAQで確認できます。
• マイナンバー: 海外転出届を出すと、マイナンバーカードは失効（返納）しますが、マイナンバー（個人番号）自体はなくなりません。銀行によっては、非居住者手続きの際にマイナンバーの提示を求められる場合があります。海外移住後のマイナンバーの扱いについては、事前に銀行に確認しておくと安心です。海外移住時のマイナンバーと銀行手続きの関係については、銀行への確認が最も確実です。
  • （参考）マイナンバー制度について：総務省 https://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/
  • （参考）マイナンバーカード総合サイト：地方公共団体情報システム機構（J-LIS） https://www.kojinbango-card.go.jp/
• 代理人: 日本国内に信頼できる家族などがいる場合、手続きを代行してもらう「代理人」を指定できる場合があります（銀行によります）。ただし、できる手続きは限られることが多いです。詳細はご利用の銀行にお問い合わせください。一部の銀行ではウェブサイトに代理人手続きに関する案内があります（例：三井住友銀行 https://www.smbc.co.jp/kojin/otetsuduki/sonota/dairi/）。
• 各種支払い・受け取り: 日本の口座で自動引き落としにしている支払いや、給与・年金などの受け取りがある場合、口座解約や変更に伴う手続き漏れがないようにリストアップして管理しましょう。特に年金受給者は、海外居住後の年金受給手続きについて日本年金機構に確認が必要です。海外移住前の準備リストに含めて、一つずつ確認・対応していくことが大切です。
  • （参考）海外居住者の年金手続き：日本年金機構　https://www.nenkin.go.jp/service/scenebetsu/kaigai.html
• 送金: 日本の口座から海外の口座へ、またはその逆の送金方法や手数料、規制なども事前に調べておくと良いでしょう。日本の口座から海外への送金、または海外から日本の口座への送金には、銀行経由のほかに、オンラインの海外送金サービス（資金移動業者）を利用する方法もあります。手数料や為替レート、送金スピードなどを比較検討しましょう。
  • 銀行送金（例：各銀行のウェブサイトで「海外送金」を確認）
  • オンライン海外送金サービス（例）：
    • Wise (旧 TransferWise): https://wise.com/jp/
    • Revolut: https://www.revolut.com/ja-JP/
    • PayPal（個人間送金）: https://www.paypal.com/jp/home
    • 注意: 各サービスの利用条件、手数料、対応国、法規制などを必ずご自身でご確認ください。

まとめ：不安を安心に変え、未来へ進むために

海外移住に伴う銀行口座の整理は、確かに手間がかかる作業です。しかし、事前にしっかりと情報を集め、計画的に手続きを進めることで、後のトラブルを防ぎ、安心して新生活をスタートさせることができます。

大切なポイント:

1. 現状把握: ご自身が「非居住者」に該当するかどうかを確認する。
2. 情報収集: 利用中の銀行に、非居住者になった場合の対応（解約、維持、専用サービス）を必ず直接確認する。
3. 選択と実行: ご自身のライフプランに合わせて最適な方法を選び、必要な手続きを行う。
4. 専門家への相談: 税金など、複雑な問題については必ず専門家（税務署、税理士など）に相談する。
5. 心のケア: 手続きの多さに圧倒されそうな時は、一度立ち止まり、自分の感情を受け止め、小さなステップで進むことを意識する。

この記事が、あなたの「海外移住後の銀行口座、どうする？」という疑問に対する答えを見つけ、資産管理の不安を解消する一助となれば幸いです。

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【免責事項】
この記事は、海外移住に伴う銀行口座管理に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品や法的手続き、税務アドバイスを推奨するものではありません。記事内の銀行比較表を含む各種情報は記事執筆時点（2025年4月11日）のものであり、最新性・正確性を保証するものではありません。銀行の規定やサービス内容、国の法律や税制は頻繁に変更される可能性があります。具体的な手続きや判断にあたっては、必ずご利用の金融機関、関係省庁（国税庁、日本年金機構など）、税理士、弁護士などの専門家にご相談の上、ご自身の責任において最新の情報をご確認ください。