こんにちは。ライフコーチの常岡です。
マレーシアへの教育移住。数ある学校の中から、我が子が最も輝くであろう一校を選び抜き、複雑な手続きを一つ一つ乗り越えていく。
その全ての原動力は「この子に、幸せな人生を歩んでほしい」という、ただ一つの純粋な願いから来ているのではないでしょうか。
しかし、その願いが強ければ強いほど、私たちの心にふと影を落とす、ある切実な不安があります。
「言葉も通じない、全く新しい環境で、この子は一人ぼっちになってしまわないだろうか?」
「もし、友達ができずに、毎日寂しい思いをさせてしまったら…」
どんなに素晴らしい教育環境も、どんなに近代的な設備も、お子様の心が孤独に凍えてしまっていては、その価値を発揮することはできません。子どもの学力や英語力以上に、親として何よりも気になるのは、我が子が笑顔でいられるかどうか。その子の周りに、温かい友情の輪が広がるかどうか。
そのお気持ち、痛いほどよく分かります。
今日は、そんな親御さんの根源的な不安に寄り添い、インターナショナルスクールという新しい世界でお子様が「最初の友達」を作るために、私たち親が家庭でできる、3つの大切なことについてお話ししたいと思います。それは、単なる英会話のテクニックではありません。お子様の心の土台を育み、言葉の壁を超える勇気を授けるための、愛情深いサポートです。
1. まずは家庭を、世界で一番の「心の安全基地」にすること
インターナショナルスクールでの一日は、特に最初のうちは、お子様にとって高いハードルの連続です。先生の指示を聞き取ろうと必死に耳を澄まし、友達の輪に入ろうとジェスチャーを交え、うまく伝わらないもどかしさと、一日中続く緊張感。子どもは、私たちが想像する以上に、多くのエネルギーを消耗しています。
そんなお子様が、家に帰ってきた時。そこに必要なのは、英語の練習や、トラブル解決のアドバイスではありません。
ただ、子どもの考えと感情と体の疲れを、無条件に受け入れ、アタマとココロとカラダを休ませてあげる「安全基地」です。
学校であった嫌なこと、うまく話せなかった悔しさを、安心して吐き出せる場所。「今日は頑張ったね」「疲れたよね」と、その努力を誰よりも認め、共感してくれる存在。家庭がそんな温かい港であればこそ、子どもは明日また、新しい挑戦の海へと漕ぎ出す勇気を得ることができるのです。
言葉の壁に直面しているお子様にとって、家庭が日本語で安心して自分の感情を表現できる唯一の場所であることの重要性を、どうか忘れないでください。
2. 「完璧な英語」より「伝わる喜び」を教える
「うちの子は、まだ単語しか話せないから…」
「文法がめちゃくちゃで、恥ずかしいんじゃないか…」
親として、そう心配してしまう気持ちも分かります。しかし、子ども同士の友情は、完璧なプレゼンテーション能力の上には成り立つのではありません。それは、たどたどしくても、「きみと遊びたい」「きみのことが知りたい」という気持ちが伝わった瞬間の、小さな喜びの積み重ねから生まれます。
私たち親にできるのは、その「伝わる喜び」を、家庭でたくさん経験させてあげることです。
- 魔法の言葉を、お守りとして授ける:
完璧な自己紹介は必要ありません。「Hi!」「Can I play?」「Great!」といった、シンプルでポジティブな言葉を、楽しい雰囲気の中で一緒に練習してみましょう。それは、お子様にとって、友達の輪に入るための、心強い「魔法の呪文」というお守りになります。 - 言葉を超えたコミュニケーションツールを用意する:
折り紙、けん玉、簡単なカードゲームや塗り絵、あるいはサッカーボール一つでも構いません。言葉がなくても一緒に楽しめる「遊び」は、最強のコミュニケーションツールです。
大切なのは、「正しく話すこと」よりも「伝えようとする姿勢」そのものを褒めてあげること。「あなたの気持ち、ちゃんと伝わっているよ」という親からの承認が、お子様のコミュニケーションへの自信を育みます。
3. 「断られても大丈夫」という、心の安全ネットを持っておく
実際、勇気を出して「Can I play?」と声をかけても、「No」と言われたり、無視されたりすることもあるかもしれません。子どもの口からそんな話を聞いたとき、親として胸が張り裂けそうな気持ちになるでしょう。
しかし、これもまた、子どもが成長する上で避けては通れない、大切な社会勉強の一つです。
大切なのは、その出来事をネガティブなものとして捉えすぎないこと。そして、親にできることは、お子様が「自分は拒絶されたんだ」と深く傷ついてしまわないように、心の安全ネットを用意してあげることです。
- 事前に、親子でシミュレーションしてみる:
「もし、『No』って言われたら、どんな気持ちになるかな?」「ちょっぴり悲しいよね。でも、それは、あなたが嫌いってことじゃないかもしれないよ。ただ、今は違う遊びがしたかっただけかもしれないね。」
「そんな時は、『OK!』って言って、また別の機会に誘ってみればいいんだよ。」
このように、事前に起こりうる状況を想定し、その時の心の持ち方を親子で話し合っておく。つまり「メンタルリハーサル」をしておくことで、お子様は実際にその場面に遭遇しても、過度に傷つくことなく、しなやかに次の行動に移ることができます。
親が「断られることは、失敗じゃないし嫌われたわけでもない」という姿勢を堂々と見せることが、お子様の折れない心を育む、何よりの安心材料となるのです。
お子様が新しい世界で友情を育んでいく力は、あなたが思う以上に、強く、たくましいものです。私たち親の役割は、道を作ってあげることではありません。ただ、我が子の力を信じ、転んでも立ち上がれるだけの、温かくて柔らかな「心の安全基地」であり続けること。
それだけで、きっと、十分なのです。
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この記事では、お子様の友人関係を支えるための、家庭での心のあり方についてお話ししました。家庭でのサポートは非常に重要ですが、それと同時に、学校がお子様をどのように支えてくれるか、そのサポート体制を見極めることも不可欠です。
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