こんにちは。ライフコーチの常岡です。
マレーシアへの教育移住を考え始め、いよいよ具体的な学校のリサーチ段階に入ると、私たちはまず、各校の公式ウェブサイトや、学校紹介エージェントのページを熱心に読み込むことでしょう。美しいキャンパスの写真、輝かしい大学進学実績、充実したカリキュラム。どの学校も、とても魅力的に見えますよね。
しかし、全ての情報が同じ重みを持っているわけではありません。広告として美しく整えられた言葉の裏側には、その学校の本当の「姿勢」や「文化」が、思わぬところに隠れているものです。
今日は、エージェントが必ずしも一つ一つ教えてはくれない、オンライン上の情報から「隠れた優良校」を見抜き、ご家族にとって本当に価値のある学校を見極めるための、少しマニアックで、しかし非常に効果的なリサーチ術をご紹介します。
1. 「校長先生の言葉」に、学校の魂は宿る
多くの学校ウェブサイトには、「校長からのメッセージ(Principal’s Message / Head of School’s Welcome)」といったページがあります。多くの方が読み飛ばしてしまうかもしれないこの場所こそ、実は情報の宝庫です。
- チェックポイント:
- 言葉の「熱量」と「具体性」:
「私たちはグローバルな人材を育成します」といった一般的な言葉だけでなく、校長先生自身の教育に対する哲学や、生徒たちへの具体的な願いが、自身の言葉で語られているでしょうか。その文章に、書き手の「顔」が見えるような、血の通った温かみや情熱を感じられるかどうかが、最初の重要な分かれ道です。 - 更新頻度と内容:
何年も前に書かれたきりの定型文ではなく、学期ごとや月ごとなど、定期的に更新されているブログやニュースレターはありますか?その内容は、学校で今まさに起こっていること(生徒の活躍、新しい教育の試み、直面している課題など)について、正直に、そしてオープンに語られているでしょうか。高い頻度で、具体的な内容を発信している学校は、教育活動に活気があり、透明性の高い運営を心がけている証拠と言えます。
- 言葉の「熱量」と「具体性」:
2. ウェブサイトの「隅っこ」にこそ、本音は現れる
トップページや入学案内のページは、いわば学校の「正装した顔」です。しかし、学校の普段着の姿、つまり日常の雰囲気は、ウェブサイトの「隅っこ」にある情報から垣間見えることがよくあります。
- チェックポイント:
- 「在校生・保護者向けページ」を覗いてみる:
もし閲覧可能であれば、在校生やその保護者向けに情報を発信しているページ(Parent Portal, Community Newsなど)を見てみましょう。そこには、日々の時間割の変更、学内イベントの詳細、ランチのメニュー、PTAからのお知らせなど、学校の「リアルな日常」が溢れています。 - 「採用情報(Careers / Employment)」ページを読む:
少し意外に思われるかもしれませんが、教員の採用情報ページは、その学校がどんな人材を求め、どんな労働環境を提供しているかを知る上で非常に参考になります。求める教員像についての詳細な記述や、福利厚生、研修制度についての言及は、学校が教員をどれだけ大切にしているかの指標となります。教員の満足度が高い学校は、結果的に教育の質も高くなる傾向があります。 - 「ニュースレター」のバックナンバーを読む:
数ヶ月分、あるいは1年分のニュースレターを遡って読んでみると、学校が年間を通じてどのような活動に力を入れ、生徒のどのような成長を喜び、そして保護者とどのようにコミュニケーションを取っているのか、その一貫した「文化」が見えてきます。
- 「在校生・保護者向けページ」を覗いてみる:
3. SNSの「公式アカウント」と「ハッシュタグ」をダブルで追跡する
学校の公式SNSアカウント(FacebookやInstagramなど)は、日々の活動を知る上で欠かせません。しかし、チェックすべきはそれだけではありません。
- チェックポイント:
- 公式アカウントの「写真に写る生徒の表情」:
プロが撮影した宣材写真だけでなく、日常のスナップ写真の中で、生徒たちは本当に楽しそうな、リラックスした表情をしているでしょうか。やらされ感のある笑顔ではなく、心からの笑顔や、何かに夢中になっている真剣な眼差しが見られるかどうかがポイントです。 - ハッシュタグ検索で「リアルな声」を探す:
ハッシュタグ(#(学校名の略称)
)で、SNSを検索してみましょう。そこには、学校の公式アカウントが発信する情報とは別に、在校生や保護者、卒業生が投稿した、よりフィルターのかかっていない日常の風景や、イベントに対する正直な感想が見つかることがあります。 - LinkedInで「先生の定着率」を推測する:
少し高度なテクニックですが、LinkedInで学校名を検索し、そこに所属している、あるいは過去に所属していた教員のプロフィールを見てみましょう。多くの教員の在籍期間が極端に短い(1~2年で辞めている人が多い)場合は、その学校の労働環境や運営方針に何らかの課題がある可能性を、一つの仮説として持つことができます。
- 公式アカウントの「写真に写る生徒の表情」:
これらのオンラインリサーチ術は、少し手間がかかるかもしれません。しかし、この一手間をかけることで、あなたはパンフレットの言葉やエージェントのおすすめだけでは決して分からない、その学校の「本質的な価値」に、より深く触れることができるのです。
それは、まるで名探偵のように、小さな手がかりから真実を導き出す、エキサイティングなプロセスでもあります。ぜひ、楽しみながら試してみてください。
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この記事では、オンライン上で学校の「本質」を見抜くための、具体的なリサーチ術についてお話ししました。こうしたリサーチで得た様々な断片的な情報を、どのように整理し、最終的な学校決定へと繋げていけば良いのでしょうか。
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