「どうしてわかってくれないんだ!」「私の言っていることが伝わっていない…」
こんな思いを抱いたことはありませんか? ビジネスの現場でも、家庭でも、人間関係の多くの問題は、実はコミュニケーションの齟齬から生まれています。
こんにちは。オンラインコーチング「There will be answers.」代表の常岡洋人です。今日は、「一を聞いて十を知る」という格言をひっくり返し、「一を知るために十を聴く」という新しいコミュニケーション哲学について、皆さまと一緒に考えていきたいと思います。
まず「一を聞いて十を知る」という言葉について考えてみましょう。この言葉は、日本人の物の見方や考え方と密接に結びついています。
日本では「察する」ことを重んじる文化があります。言葉にされていないことでも、場の空気や相手の表情から読み取る能力が高く評価されてきました。「一を聞いて十を知る」は、まさにこの「察する力」を端的に表現しています。
日本社会では調和も非常に重要視されます。「一を聞いて十を知る」能力があれば、わざわざ細かい説明をしなくても相手の意図を理解できるため、スムーズなコミュニケーションが可能になります。
しかし、この「一を聞いて十を知る」が国籍や世代を超えたコミュニケーションにおいて誤解やトラブルを生み出すことがあるのです。
1. 「一を聞いて十を知る」の落とし穴
まずは、「一を聞いて十を知る」姿勢がどのような問題を引き起こすのか、具体的な例を見てみましょう。
プロジェクト開始時の誤解

新しいプロジェクトを任せたいのですが。目的は顧客満足度の向上です。



はい、承知しました。顧客満足度の向上施策を行います。(顧客満足度といえば、サービス改善だろう)



よろしくお願いします。(応対スピードを改善すれば顧客満足度が上がるだろう)
結果:的外れな対策に時間とリソースを費やし、本来の改善が遅れる
夕食の選択



今日の夕食、何食べにいく?



うーん、最近和食が食べたいんだよね。



(和食と言えばおでんだよな)わかったわ、予約しとく。



(久しぶりにお刺身だよね)ありがとう、楽しみ♪
結果:互いの期待にズレが生じ、小さな不満が蓄積していく。
このように、「一を聞いて十を知る」姿勢は、しばしば誤解や問題を引き起こします。この例では小さなものかもしれませんが、場合によっては重大な結果をもたらす可能性もあるのです。では、どうすればこのような事態を避けられるのでしょうか?
2. 「一を知るために十を聴く」アプローチ
ここで提案したいのが、「一を知るために十を聴く」というアプローチです。これは単に多くの情報を集めるだけでなく、相手の真意を理解するために積極的に質問し、確認する姿勢を意味します。
「一を知るために十を聴く」の4つの重要ポイント
効果的なコミュニケーションの鍵は、相手の言葉に耳を傾け、真意を理解することにあります。「一を知るために十を聴く」というアプローチを実践するための「4つの重要なポイント」を見ていきましょう。
「一を知るために十を聴く」の4つのポイント
1. まず、相手の話を最後までしっかりと聞く
まずは相手の話を途中で遮ったり、自分の意見を挟んだりせずに、最後まで耳を傾けることが重要です。これにより、相手の考えの全体像を把握し、無駄な質問を避け効果的な理解が深まります。
2. 先入観を捨て、オープンな姿勢で聴く
私たちは往々にして、自分の経験や知識に基づいて相手の言葉を解釈しがちです。しかし、真に相手を理解するためには、この習慣を意識的に避ける必要があります。
3. 相手の言葉を要約し、理解を確認する
相手の話を聞いた後、その内容を自分の言葉で要約して確認することは、自分の理解内容を示し、誤解を防ぎ、相互理解を深める上で非常に効果的です。
4. 具体的な質問を積極的に行う
相手の言葉を深く理解するためには、適切な質問が欠かせません。オープンクエスチョンを使い、相手とより多くの情報を共有しましょう。
これらの4つのポイントを意識して実践することで、「一を知るために十を聴く」姿勢が身につき、より深い相互理解と効果的なコミュニケーションが可能になります。日々の会話の中で、少しずつこれらのテクニックを取り入れていくことをおすすめします。
このアプローチを先ほどの例に適用してみましょう。
プロジェクト開始時の会話(一を知るために十を聴く版)



新しいプロジェクトを任せたいのですが。目的は顧客満足度の向上です。



承知しました。顧客満足度の向上とは具体的にどのような面を指していますか?



主に応対スピードの改善を考えています。



分かりました。現在の応対時間と、目標とする時間はありますか?



現在の平均は15分で、10分以内を目指しています。



了解しました。では、応対スピード改善のための現状分析と改善案を来週までにまとめ、ご相談させていただきます。
夕食の選択(一を知るために十を聴く版)



今日の夕食、何食べにいく?



うーん、最近和食が食べたいな。



和食ね。具体的にどんな料理が食べたい?お肉料理?それとも魚?



そうだな、久しぶりにお刺身が食べたかったんだ。



オッケー。じゃあ近くの居酒屋に行く?それともちょっといい店がいい?



久しぶりに居酒屋も良いかもね。



じゃあお刺身のおいしい近くの居酒屋を予約するね。
これらの例から、「一を知るために十を聴く」アプローチが、いかに誤解を防ぎ、相互理解を深めるかがお分かりいただけるでしょう。
3. 「十を聴く」ための具体的テクニック
では、実際にどのように「十を聴く」のか、具体的なテクニックを見ていきましょう。
オープンクエスチョンを使う
「はい」「いいえ」では答えられない質問をすることで、相手とより多くの情報を共有できます。
例:「その問題についてもう少し詳しく教えていただけますか?」
アクティブリスニングを実践する
相手の話を注意深く聞き、内容を要約して確認します。
例:「つまり、〇〇ということですね。私の理解であっていますでしょうか?」
5W1Hを活用する
Who(誰が)、What(何を)、When(いつ)、Where(どこで)、Why(なぜ)、How(どのように)を質問に組み込み、状況を包括的に理解します。
例:「このプロジェクトは、誰が(Who)、いつまでに(When)、どのような目的で(Why)進めているのでしょうか?」
非言語コミュニケーションに注意を払う
相手の表情、姿勢、声のトーンなどにも注目し、言葉以外の情報も読み取ります。
例:「表情が硬いようですが、何か懸念事項がありますか?」
適切な沈黙を活用する
相手の話の後に少し間を置くことで、更なる情報や思考を引き出します。
例:相手の発言後、数秒ほど待ってから「他に何か言い残していることなどありますか?」と尋ねる。
4. 「十を聴く」ことで得られる効果
「一を知るために十を聴く」アプローチを実践することで、様々な場面でポジティブな変化が現れます。以下に、それぞれのシーンでの効果をまとめました。
5. 「十を聴く」習慣を身につけるためのアドバイス
「一を知るために十を聴く」アプローチは、すぐに完璧にできるものではありません。日々の実践と意識的な努力が必要です。以下に、この習慣を身につけるためのアドバイスをまとめました。
「十を聴く」習慣化のためのヒント
まとめ:コミュニケーション革命を起こそう
「一を知るために十を聴く」というアプローチは、単なるコミュニケーションテクニックではありません。それは、他者を深く理解し、自己を成長させる哲学です。この姿勢を身につけることで、ビジネスの成功から個人の幸福まで、人生のあらゆる面でポジティブな変化を生み出すことができます。
今日から、あなたのコミュニケーションスタイルを見直し、「十を聴く」実践を始めてみませんか?小さな変化から、大きな革命が始まります。
効果的なコミュニケーションスキルの向上に関して、さらなるサポートや個別のアドバイスが必要な場合は、私たちのオンラインコーチングサービスをご利用ください。ビジネスから個人生活まで、あなたのコミュニケーション革命を全力でサポートいたします。
皆さまの「聴く力」が向上し、人生のあらゆる面でより豊かな関係性を築けることを心から願っています。「一を知るために十を聴く」コミュニケーション革命の第一歩を、今日から始めましょう!
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